グリーンクリエイティブいなべ

三岐鉄道 三岐線・北勢線

いつの時代も変わらずに、そこに暮らす人たちや旅人を運んできた黄色い電車に揺られ「いなべ」の町へ。都会から自然へと彩られる車窓を眺めると、胸が高鳴った。

1000年の風景

いなべを鮮やかに彩る四季。冬には鈴鹿山脈の雪化粧。春には幻想的に輝く梅に桜。力強く芽吹く新緑や、黄金色に輝く麦畑が夏の香りを運べば、風や水さえも彩られる。そして秋の紅葉。1000 年前の庭園が残るという鳴谷山聖宝寺の、あたり一面を染める境内の紅葉の美しさに、思わず息を呑んだ。

山を守る“狛猿”

聖宝寺の麓にある鳴谷神社では、狛犬ならぬ「狛猿」が参拝客を迎えてくれる。「神猿(まさる)」とされることから「魔が去る」「勝る」と縁起がよい。日本では古くから猿が山の守り神とされることが多いが、対になった狛猿は珍しい。写真は雄猿。向かいには子猿を抱きかかえた母猿が鎮座する。

忘れてはいけないこと

いなべの「食」の魅力の1つに、環境の豊かさがある。自然や作り手と、それを食べる人たちの距離が近く、一緒に旬を楽しみ、お互い感謝の気持ちを忘れない。かつてあたりまえだったことが「特別」になってしまった時代に、忘れてはいけないことを思い出させてくれのるが、いなべの「食」を巡る旅。

職人の息遣い

職人の息遣い いなべの職人たちに共通する感覚が「自然と暮らしの調和」。伝統文化を代々受け継ぐ職人たちはもちろん、食文化を支える農家、シェフや菓子職人、様々な技をもって暮らしを彩る気鋭のクリエイターやアーティストにも通じている。いなべでは、その息遣いを、町のいたる所で感じることができる。

名前のない景色

いなべを旅しているとよく出会う、自然の織りなす名前のない景色。自分らしい旅とは、ガイドブックに載らない、 そんな名前のない美しい景色に、心を奪われることなのかもしれない。

PHOTO by HIDETAKA URATA /
TEXT by JUNYA KATO

いなべという自然豊かな町を舞台に、
自分らしく生きる人たちの暮らしを
紹介する「いなべ、暮らしを旅する。

いなべ、暮らしを旅する。

Inabe: Journeying into life.

都会の喧騒の中でふと見た足元が、日本中のいろいろな町につながっていると気づいたある日。また旅がしたいと思った。

インターネットの普及は、世の中を便利にしたけれど、情報だけでは、あの森の澄んだ空気や、木や土から感じる手ざわり、命をいただくようなあの食の感動は、きっと届けてくれない。

時代の変化の中で少しずつ「自分らしさ」というものを考えるようになった。自分らしい格好。自分らしい立ち振る舞い。自分らしい生き方。些細なことでもいいから「これこそ自分だ」と言える瞬間がほしいと思う。遠回りしてもいいから、流されることなく、自分の足で進む。自分の感覚で選ぶ。そんな旅をしてみたい。誰かに用意されたコースではなく、手を伸ばして、自分で掴んだ先に向かう、まるで冒険家のような旅をし、名前のない美しい景色にただただ見惚れていたい。

「いなべ、暮らしを旅する。」は「いなべ」という自然豊かな町を舞台に、自分らしく生きる人たちの暮らしと、そのまなざしを紹介する、新しいカタチの旅の小冊子であり、少しの遠回りもひと手間も愛しいと思える、自分らしい 「旅」を見つけるためのガイドブックです。有名な観光地や三つ星レストランの情報はないかもしれませんが、「いなべ」にしかない美しい景色や時間が描かれています。

もしこの本を読んで、少しでも心が動いたのなら、
ぜひ自分の目で、手で、それを確かめに来てみてください。

いなべ、暮らしを旅する。

Inabe: Journeying into life. ARCHIVES

いなべ市内を中心に無料で配布しているガイドブック版「いなべ、暮らしを旅する。」では、鈴鹿山脈・養老山地に囲まれた「いなべ」という自然豊かな町を舞台に、自分らしく生きる人たちの暮らしを紹介しています。

【 本誌で紹介されている人や場所 】 ※ページ掲載順
鳴谷山 聖宝寺 / 鳴谷神社 / 竜ヶ岳 宇賀渓観光案内所 竜のコバ / ヤマネコベイク /toi designs(とわでざいん) / 安心食品の店 / マル信緑香園 / 岡製茶 / 上木食堂 /木村修 / 阿下喜温泉 / KOZZO / HATAKEYA / MY HOUSE / 山の下のパン屋 / 鈴原山肉店 / kiwi / にしまちバインミー / okudo中村舎 / 八舎 / 篠立の風穴 /山びこ /いなべ市農業公園 梅林公園 / 民泊nico / 古木のある家 /青川峡キャンピングパーク / Nordisk Hygge Circles UGAKEI / メゾン ヒガシマチ

2022年4月発行 | 48P | フルカラー | A5版 |
日本語版 | 英語版 | フランス語版 |

写真:
浦田貴秀(鈴麓写真)
文・デザイン:加藤 淳也(PARK GALLERY)

配布場所:
31スタヂオ(シビックコア1階) / いなべ市役所各支所 / 市関連施設 etc…

※今回の冊子は、野遊び推進事業の一環で制作しました。

「いなべ」という自然豊かな町を舞台にした旅をご用意しています。
いなべの暮らし、営みに触れる旅を。