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新角屋(しんかどや)

ふわふわのお餅で包まれた白餡と、甘酸っぱいイチゴのハーモニーがたまらない、今が旬の「いちご大福」...

20
February
2020
投稿者:事務局

ふわふわのお餅で包まれた白餡と、甘酸っぱいイチゴのハーモニーがたまらない、今が旬の「いちご大福」。

北勢町阿下喜(あげき)にある老舗和菓子屋、「新角屋(しんかどや)」の名物だ。

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昔、阿下喜で宮大工を営んでいた山本家の奥様方が、手隙の際、和菓子をつくっていたのがきっかけで、明治末期に「新角屋」の名で和菓子屋を創業。

現在は、五代目 山本章貴さんと、女将 山本照美さん(写真下)の親子ふたりで、代々受け継がれる新角屋の味を守り続けている。

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新角屋の1日はとても長い。夜中の2時、3時まで休憩を取りながら翌日に販売する和菓子の仕込みをし、朝早く卸先へ出荷のため配達へと出向く。

更に年末年始は、和菓子の製菓に加え、のし餅や鏡餅の注文販売が追加になるため、1年で最も忙しい時期を迎える。

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遠くに住む家族の力を借りることもあるが、基本は親子ふたりで、数多くの工程を日々こなす。

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五代目山本さんは、幼い頃から祖母に背負われ、四代目である父の背中をずっと見て育ったこともあり、高校2年生の頃には、

「自分が、新角屋の味を守らなければ…」と、店を継ぐ覚悟を決めたという。

高校卒業後、名古屋にある老舗和菓子屋「美濃忠」本店で約10年もの間修行した後、阿下喜に戻り、五代目として

新角屋の看板を背負う和菓子職人となった。

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季節ごとに趣向を凝らし、和菓子と向き合い、つくり続ける日々。

古くから日本文化と共にある和菓子の強いイメージと、代々受け継がれる味を、ずっと守り続けていく、その覚悟は並大抵のものではない。

そこには、和菓子や家族への愛はもちろん、老舗を受け継ぐ使命感を感じる。

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そして、五代目山本さんと共にお店を支えるのが、新角屋の看板娘!こと、女将の照美さんだ。

名前のとおり、このまちをも明るく照らす愛らしい笑顔は、訪れる人の心を和ませ、何より元気をくれる。

チャーミングな接客に、和菓子もついつい買い過ぎてしまう。

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和菓子の持つ魅力は、日本らしい四季の美しさや空気感を感じられるのはもちろん、そのまちの人や雰囲気を感じ、楽しめるところにもあるように思う。

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昭和38年から販売しているという、北勢銘菓「椎茸の里」。(写真上)

椎茸は北勢地区の名産品だったことから、当時阿下喜に8店舗もあったという和菓子屋の会合で「椎茸の里」と命名され生まれた。

餡の味は店舗毎に異なり、オリジナリティに富んでいる。

新角屋の餡は、丁寧に炊いた北海道産小豆に、なんと…名前どおり干し椎茸が刻んで練り込まれており、不思議な食感や独特の風味がくせになる美味しさだ。

かつて阿下喜に数多くあった和菓子屋も、今では「新角屋」と「松寿園(しょうじゅえん)」の2店舗のみとなってしまったが、

当時のにぎわいに耳をすませ、趣ある阿下喜のまちを歩きながら、食べ比べてみるのも楽しいのではないだろうか。


 『新角屋』

【住所】三重県いなべ市北勢町阿下喜1044

【電話番号】0594-72-2273

【営業時間】8時30分頃~19時30分頃まで

【定休日】不定休

新角屋12

【Credit】

〈取材撮影ご協力〉

新角屋  5代目 山本章貴さん、女将 山本照美さん

〈撮影〉

ウラタタカヒデ(鈴麓寫眞)

〈インタビュア・テキスト〉

企画部 政策課